2011年3月20日(日)第12回定期演奏会

Microcosmos指揮者のN嶋です。
この度、Microcosmos第12回定期演奏会を挙行させていただき、
たくさんの方のご支援のおかげで無事開催することができました。
まず、ご来場いただいた方々に、厚く御礼申し上げたいと思います。
今回の演奏会では、直前の3月11日(金)に東北地方太平洋沖地震が発生し、
団員の中でも1名実家が影響を受け、出演することができなくなりました。
震災の発生後は、そのまま演奏会を挙行してよいものか、悩みました。
しかし、やはり今の私たちが何か貢献できるとすれば、
できることは下記の2つしかないと思い、予定通り開催することといたしました。
・今回の演奏会で歌う曲に込められた「祈り」のテーマのもとで
精一杯心を込めて歌うことで、希望・平安・感動を生みだすこと。
・当日の会場に募金箱を設置し、お客様からご協力いただいた募金を
信頼できる送付先を通じて全額寄付し、被災地の復興に役立てていただくこと。
こうして、例年以上に、団員一人ひとりが強い責任感を持って、
2011年3月20日(日)の昼、演奏会会場のうはらホールに集結し、
準備を開始しました。

ウォーミングアップ・発声ではまずIさんのプロインストラクター指導で
身体全体をほぐし、ソプラノパートリーダーSさんの指導で
身体を使ったよい発声の基礎と和音感覚を確認しました。
そして各ステージのリハーサル開始。
これまで1年間積み重ねてきたものを全て発揮すべく、
最後の調整を時折はさみながら、第3ステージ→第2ステージ→
第1ステージ→アンコール→入退場、と順調にリハーサルは流れていきました。
その後更衣を済ませ、17:30に開場を迎えました。
すぐ後に控室での最終発声を控えていましたが、私は開場時の受付の様子が
気になり、受付におりました。午後から降り出した雨にも関わらず、
楽しみにしてお越しいただいたお客様にお会いし、安心しました。
そして受付はスタッフの方にお任せし、最終発声に入りました。
最終発声は私の担当で、直前声出しとカデンツで、ホール上方に響かせる歌い方と
再度ハーモニー感覚の確認を行いました、これで準備万端。
いざ、18:00から開演となりました。
第1ステージ、宮沢賢治作詩・鈴木憲夫作曲、混声合唱曲「永訣の朝」。
私は演奏会でこの曲を歌うのは生涯で2度目、前回はベースでしたが、
今回はテナーで歌うこととなりました。
演奏開始前、入場している間も、この後演奏する宮沢賢治の生地、岩手の
ことが頭から離れませんでした。どうしてでも、この祈りの気持ちを、
遠い東北まで届けたい、と思いながら、ステージで最初の拍手を受けました。
そして、冒頭の重々しいピアノ前奏から壮大な詩の世界が展開されていきました。
その後演奏中、必死に感情を表現しようと精一杯歌っていると、
本当にあっという間に最後まで行ってしまいました。クライマックスの表現を含め、
自分としてはできる限りのことをやり尽くしたので、浸っている間もなく
次はN嶋が指揮をするステージの準備に向かうこととなりました。
第2ステージ、あの国、この歌〜日本に定着した海外メロディー〜。
第1ステージと全く趣を変えたステージで、どのように受け入れられるか、
不安でした。このステージは、全ての曲が、日本で日本語で歌われている曲と
いうことで、外国語の原曲を織り交ぜて対比を聴いて楽しんでいただく、というのが
趣旨でした。やはり、馴染みの曲、というのは大きいですね。
お客様には、楽に、リラックスして聴いていただけた、という印象を受けました。
途中には、リコーダーとピアニカの共演あり、チェコ語・ロシア語・フランス語の
ソリスト演奏あり、ソプラノオブリガートあり、拙いMCあり(申し訳ありません)、
と盛りだくさんのステージとなりました。また、ステージ自体が日本にいながら
各国を旅行していくような形式ということで、メンバー全員異なる国旗をあしらった
楽譜カバーを持ちましたが、そちらも客席からはなかなか印象的だったようでした。
あと、私のMCの内容で一部最も有力な通説と異なった内容を紹介していた部分が
ありますので、この場をお借りして訂正いたします。「ウォルスィング・マティルダ」の
「マティルダ」は、「他の荷物をくるんで運ぶのにも使う毛布・寝袋」のことで、
「ビリー」が「ヤカン」のことでした。「Waltz」という言葉に「あてもなくさまよう」と
いう意味がありますので、「ウォルスィング・マティルダ」は
「さまよう毛布」、つまりそれをしょっている放浪者自身の比喩と
なるわけです。この曲はまだ様々な背景がありますので、さらに調べると
とても興味深いと思います。
そして第3ステージ、J.G.ラインベルガー作曲、Missa brevis in F。
指揮者として、本当に「祈り」を込めて演奏を進めていきました。
特に、「Credo」の復活の部分は、今後の震災の被災地の復興を必死で祈り、
「Agnus Dei」の後半は、震災の被災地へ今後早く平安が訪れることを
祈りながら、団員一同、心を合わせて精一杯演奏することができたと思います。
アンサンブルとしては、やや不安定な部分もあったかと思いますが、
心を込めた演奏で、心からの「祈り」を表現することはできたと考えています。
最後にアンコール、岩間芳樹作詩・新実徳英作曲、「空に、樹に…」より「聞こえる」。
「何ができるか、教えてください。」
今、本当に我々ができることは何か、日本国民の大多数の方の思いではないかと思います。
そしてこの答えを得るために我々は日々生き、様々な活動をしていると思います。
その日々の活動が、平和や環境の維持などに貢献していくことになると考えています。
16年前に阪神淡路大震災で被災したここ神戸で、今回の演奏会を開催し、
この曲を演奏し、「私たち一人ひとりが今、行動を起こさなければならない」という
メッセージを発信させていただけたのは、非常に大きなことだと思います。
本演奏会においてご協力いただいた募金については、後ほど正式に寄付の結果を
当ブログにてお伝えいたしますが、まずはこの活動が被災地復興支援に貢献する
ことができたら、と思います。そして、今後もこのような演奏活動を続け、
メッセージを発信し続けることができたら、本当に幸いなことだと思います。
演奏終了後、達成感を感じながら退場しました。
ホワイエには、たくさんのお客様がおられ、次々に声をかけていただきました。
家族、先生、先輩、後輩、友人と、色々な方とお話しましたが、特に数年ぶりに
お会いすることができた元団員のK井くんとお話できたのはとてもうれしかったです。
やはりこれからも、このような人同士のつながりを大事にしていきながら、
本業の演奏活動にさらに磨きをかけていければ、と思いました。
以降は片付け、撤収を経て打上げへと進むのですが、非常に長くなりましたので
別途後日、別項にてご報告させていただきます。
最後にもう一度、ご来場いただいたたくさんの方々に、そして急遽設けました
募金のお願いにお応えいただいた方々に、厚く御礼申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です